今回はついに僕の一番好きな漫画家「伊藤潤二」さんについて語るときがきたようです……!!
伊藤潤二さんは、今やホラー漫画界の大御所とも言える存在です。
画業30周年を迎えて、現在東京MXでアニメ「伊藤潤二コレクション」が放送中、昨年末には初のファンブック「伊藤潤二研究」が出版され、台湾では個展が開かれる(日本でもお願いします!)など、過去最高の盛り上がりを見せていると行っても過言ではないでしょう。
まさに空前絶後の伊藤潤二旋風!!
これはアメトークで「伊藤潤二大好き芸人」待ったなし!ですね。
アニメ化されている代表作、人気作はもちろんですが、アニメ化されてない短編も名作揃い。
そこで、今回は伊藤潤二さんの個人的おすすめ短編をご紹介します。
もっと盛り上がれ、伊藤潤二!
伊藤潤二とは?
まずは伊藤潤二さんの説明を簡単に。
①略歴。
1986年に楳図かずお賞を「富江」で受賞して作家デビュー。伊藤さん自身も楳図かずおのファンであり、影響も受けています。
出版社の朝日ソノラマが出版していた雑誌で短編を発表しつつ、小学館や講談社でも徐々に作品を発表していくようになり、徐々にその人気を拡大。
今やホラー漫画界を代表する存在になっています。
②代表作など。
代表作は、複数回映画化されている「富江シリーズ」、邪悪な子供双一が活躍(?)する「双一シリーズ」、うずまきに取り憑かれた街の物語「うずまき」、などでしょうか。
佐藤優原作の「憂国のラスプーチン」、猫エッセイ「よん&むー」などもあります。
そして2017年からは太宰治の古典「人間失格」を原作にまさかの漫画化!
画業30年を迎えてこれからの活躍がますます楽しみです。
②画風・特徴
伊藤潤二さんの作品の特徴はその線の細かさや繊細な絵でしょう。特に女性を美しく儚げに描くことには定評があります。
また、短編を中心に作品を発表していますが、毎回発想の奇抜さには驚かされます。
「首吊り気球」とか誰も思いつかないよ……。
「ギョ」なども秀逸なアイデア。
「緩やかな別れ」などの寂しげな余韻を残す作品もあります。
絵が上手く、一見するとグロテスクなシーンも多いのですが、ストーリー展開のありえなさや、設定の奇抜さのお陰で、もはや笑えるシーンになることもあり、この辺りのバランスがとても見事です。
ブラックジョークのような雰囲気すらありますね。
猫エッセイを描くときですら画風はそのままで、画風と内容のコントラストが笑いに昇華されています。
個人的おすすめ短編!
ここからおすすめ短編をご紹介。
ちなみにランキングではなく、あくまでおすすめです。
好きすぎてランキングは作れないのです。(笑)
今回はシリーズもの(双一や富江など。)は除外して、一話で完結の短編から作品を紹介します。
伊藤潤二さんの長編は短編として成り立つ作品も多いのですが、(「うずまき」など同一世界観での違う話というのも多いです。)
やはり伊藤潤二さんの魅力を知るにはまず純粋な短編からということで。
1話だけの為に作られ練られた設定の奇抜さを堪能していただきたいです。
では、どうぞ!
※以下ネタバレもあります!
ですが、短編ですし伊藤潤二さんの魅力は美しい絵と奇抜なストーリーが合わさってこそだと思うのであまり影響はないはず……。
①首吊り気球
伊藤潤二傑作集(8)うめく排水管に収録。
〜ストーリー〜
ある女子高生の親友Aが自殺してしまう。
その後死んだはずの彼女の目撃証言が相次ぎ幽霊の噂が。
自殺した親友Aの彼氏もAを目撃したという。
しかし、その正体は頭部だけが巨大な気球になった恐ろしいモノだった……。
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伊藤潤二さんの短編でも有名なのがこの「首吊り気球」ではないでしょうか?
有名であり、ファンからの支持もある作品です。
実は密かに実写化もされています。
伊藤潤二さんの作品はこっそり映像化されているものが多い……。(笑)
自分の顔の気球が襲ってくるという奇抜過ぎるアイデア、先の読めないストーリーと文句なし。
序盤はミステリー要素もある雰囲気だったのに、中盤から一気にゾンビ映画ばりのパンデミック(感染はしてませんが。)伊藤潤二さんの魅力が十分に詰まった作品です。
②白砂村血譚
伊藤潤二傑作集(9) 墓標の町に収録
〜ストーリー〜
ある医師が医者のいない小さな村へ赴任してきた。
その村の住民は何故かみな血の気がなく、青白い顔で原因不明の出血に悩まされている。
原因を突き止めようとする医師はあること気づく……。
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この作品はそれほど有名ではないかな??
かつて出版されてた短編集ではタイトルにもなってたのですが。
村の陰鬱な雰囲気や元凶が村そのものにあるという設定も良いのですが、僕は主人公である医師に恋する女の子が良いなあと思っています。(笑)
儚げでいいですよね。伊藤潤二さんは女性を非常に美しく描きます。
③長い夢
伊藤潤二傑作集(9) 墓標の町に収録。
〜ストーリー〜
余命短いある女性が病院に入院している、深夜何か人外と思えるものと遭遇し翌日医師に訴えると、実は他の入院患者の男性だという。
その患者の病室に女性を連れて行く道中で男性患者のことを話す医師。
男性患者は寝るときに見る夢が日に日にとても長く感じるようになっていくという。
1日、2日、1週間、…1年と経っているように感じるが、起きても一晩過ぎただけ。
現実か夢かの区別がつかなくなっていくその患者の行く末は…。
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あらすじだけですごく長くなってしまいました……。これだけ書いてまだ序盤です。(笑)
ストーリーは伊藤潤二さんの作品の中でも屈指の完成度といわれ、こちらもこっそり実写化しております。(笑)
SFのような設定、説得力のある絵とストーリー展開、短編ながら下手な長編よりよっぽど読み応えがあります。
ホラー要素はあまりないのですが、いろいろなジャンルに挑戦しているのも伊藤潤二さんの魅力ですね。
④うめく排水管
伊藤潤二傑作集(8)に収録。
〜ストーリー〜
ある美人姉妹につきまとう男がいた。
いかにも不潔で臭そうな男。
いたずらにより美人姉妹の家に男を招待することになったが、潔癖症の母親によって追い払われてしまう。傷ついた男は家を去るが、しばらくしてから家中に男の体臭が漂うになる。
その原因は……。
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こちらも有名な短編ですね。
調べたらこちらも実写化してました。
僕が思ってるより実写化多いな……。(笑)
すみません実写はそれほど注目していませんでした!
ストーリーとしては意外にありきたり(?)なのですが、妙に印象が強い作品です。
それはやはり伊藤潤二さんの絵の力でしょうね。
たわしで腕を洗うシーンとか僕は結構キツかった……。
⑤恐怖の重層
伊藤潤二研究 ホラーの深淵から (Nemuki+コミックス)
- 作者: Nemuki+編集部
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2017/12/20
- メディア: 単行本
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伊藤潤二研究に収録。
〜ストーリー〜
ある家族がいます。父親は 亡くなっていて母親と姉妹の家族。ある日事故に遭って妹の顔面の皮がめくれる大怪我を負う……。
治療する過程で妹は毎年皮膚が年輪を重ねる木のように層を重ねていっていることがわかり、皮膚をめくっていくと徐々に幼い妹が露わになるのではないか、と医師は言う。
幼い頃の妹に執着する母親は次第におかしな行動をとるようになり……。
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新しい作品もひとつ。
こちらの作品は雑誌で発表後に2017年12月に発売したファンブック「伊藤潤二研究」で初単行本収録となります。
漫画家浦沢直樹さんの番組「漫勉」で伊藤潤二さんが出演したときに執筆の様子が放送されていましたね。
今のところ最新作短編になります。
久しぶりのオリジナル短編ながら誰にも思いつかない設定、繊細な絵は健在です。
なかなかグロテスクな描写もあって大満足。
ファンブックもかなり充実した内容なので是非読んで欲しいですね。
⑥番外編 伊藤潤二自選傑作集
ちなみに伊藤潤二さんが初めての方は「伊藤潤二自選傑作集」がおすすめです。
伊藤潤二さんが自身で選出した短編を収録しています。今日ご紹介した「首吊り気球」、アニメ化した「長い夢」も収録。どれを買うか悩んだらとりあえずこれです。
アニメ化されている短編は?
2018年2月8日の現時点でアニメ化されてる短編をリスト化しておきます。参考までにどうぞ。
気づいたら随時更新していきます。
- 第1話① 双一の勝手な呪い(伊藤潤二傑作集3収録)
- ②地獄の人形葬(伊藤潤二傑作集10収録)
- 第2話①ファッションモデル(伊藤潤二傑作集6収録)
- ②長い夢(伊藤潤二傑作集9収録)
- 第3話①死人の恋わずらい(伊藤潤二傑作集4収録)
- ②なめくじ少女(伊藤潤二傑作集9収録)
- 第4話①寒気(伊藤潤二傑作集7収録)
- ②あやつり屋敷(伊藤潤二傑作集8収録)
- 第5話①押切異談(伊藤潤二傑作集10収録)
- ②布製教師(伊藤潤二傑作集3収録)
3月から連続でDVDの発売も決定しているそうです。(すごく高額でしたが……キツイなあ……。)
とりあえずこの辺で…。
正直なところ、伊藤潤二さんが新作を発表する!
というだけで無条件に好きになってしまうぐらいのファンなのでどの作品も甲乙つけ難いです。
ここで紹介していない短編もどれも大好き。
また機会があればご紹介したいですね。
あと、「富江」や「うずまき」などの長編シリーズもまとめたいです。
これからも定期的に伊藤潤二さんの記事は書いていきたいですね。
それでは!